現役イベントマーケターが語る「展示会出展のノウハウ」(セミナーレポート)
2024年7月10日、「いま注目のBtoBマーケ施策!4社の現役イベントマーケターが語る展示会出展のノウハウ」と題したセミナーが開催されました。
コロナ禍を経て、BtoB向けリアル展示会への出展を希望する企業が増えています。短期間で多くの見込み客と接点を持ち、新規リードを獲得するためには何が必要なのでしょうか。
本セミナーでは、展示会出展におけるノウハウの共有や情報交換、苦労などを分かち合い、より良い成果を出すための工夫について、パネルディスカッション形式で語りました。
(セミナー主催:株式会社Helpfeel)
◾️登壇者
テーマ1:展示会出展の目的とKPI
リード獲得に向けて、最短で成果を出すために
各社の事業概要とパネリストの自己紹介を終え、最初のテーマが発表されました。
4社の中で、最多の出展回数を誇るSansan株式会社 西川氏によると、昨期は年間で大小合わせて43件の展示会に出展。プロダクトごとに事業部が分かれていることもあり、予算、KPIもすべて分けた戦略を取っているとのこと。展示会出展の1番の目的は「リード獲得」であり、展示会の規模からリード数を算出し、年間計画を立てて進めているそうです。
「リード獲得」のために展示会への出展をするという目的は、4社とも共通していました。
続けて、「展示会未経験からスタートした実体験」を語ったのは株式会社ココナラ 萬氏。展示会を検討し始めたのは、2024年2月で、それまで“営業”は十分には組織化されておらず、手探りの状態で展示会準備を始めたそうです。
事業上のターゲットモデルが似ている競合企業を参考にしながら、「競合企業が最も成果を出しているイベントへの出展」を企画。どのような顧客にアピールできるのかはもちろん、出展当日の運営方法まで細かく再現したそうです。
株式会社UPSIDER 上井氏は「商談設定数・受注数・サービス利用額をKPIに置き、営業マター(営業担当)にしている」と語りました。展示会当日はいかに名刺を獲得するか・次回の商談を設定するかを意識し、展示会終了後の受注につながるような動きを心がけているとのこと。
UPSIDERでは昨年から展示会出展を強化したため、効果測定や分析を進めているそうです。
リード獲得から成約までのスピード感の違い
ではリード獲得ができた後、どのぐらいの期間を経て「成約」にたどり着くのでしょうか。各社とも通常のインバウンド・アウトバウンドセールスよりも、かなり早いスピードで商談〜成約にたどり着いている印象を持っていました。
「Sansanでは大体180日を目安にROI(投資利益率)を厳しく見ています。そのため半年後には成果が出ているかが、把握できるようにしています。」(Sansan 西川氏)
「見たらクリックしちゃう、デジタルマーケの広告に似ている気がします。リード獲得に加えて、次回商談までどれだけ繋げられているのか。さらにそこから概ね2クオーター以内に受注まで進められているかも追いかけています」(Helpfeel 落合)
「展示会からのリードタイムは、通常のアウトバウンドでの営業よりも少し早い傾向があります。おそらく、展示会に来場する時点で何かしらを求めているのでしょう。複数名で来て、よさそうなサービスがあれば決めるような動きですよね」(UPSIDER 上井氏)
「展示会に来場する目的は“何かを探している”というところでしょうからね。『普段会えない顧客との接点を設ける』という意味でも、高い温度感の顧客と出会えます」(ココナラ 萬氏)
テーマ2:商談獲得を最大化するためのセールスの巻き込み方
その場で商談化するか、あえてヒアリングに徹するか
Sansanでは、展示会ブースにはフィールドセールスが参加しており、「ニーズがあって、何かを探しに来ている」という顧客に対し、その場で最適な提案ができる仕組みになっています。フィールドセールスとしては自身で顧客対応を行い、後日商談から受注まで担当できることで、展示会に行くモチベーションも非常に高まります。(Sansan 西川氏)
一方で、UPSIDERは「展示会は“祭り”だ」としています。展示会ブースにはリードセールスが立ち、顧客の抱えている課題についてヒアリングすることに専念しています。
「営業としてはつい、プロダクトの話を説明したくなってしまいます。それをあえて控えめにし、お客様が来場した目的や課題についてヒアリングするようにしています。そこで得た情報が、次回の提案に繋がりますから。メンバーのモチベーションを高める工夫としては、商談設定ができたメンバーのランキングをすぐに集計し、リアルタイムで共有しています。自然と競い合いながら、お祭り気分で盛り上げています。そうすることで1日目より2日目、2日目より3日目と成果が伸びる傾向にあります」(UPSIDER 上井氏)
新卒社員の存在感が展示会に華をそえた
商談へと繋げるプロセスの中で「新卒社員の存在感」にも注目が集まっていました。Sansanでは入社したばかりの新卒社員が展示会に参加することで「フレッシュで勢いがあり、来場者が立ち止まりやすい」と感じているそうです。
ココナラでも同様に、新卒社員を積極的に投入。展示会ブースの担当者をすべて内製化し、新卒社員のOJTの場としても活用しているとのこと。
「初日はお客様と上手く話せなかった社員も、2日目、3日目が経つ頃にはしっかり話ができるようになります。その後に架電し、商談化へ進む流れも非常にスムーズになりました。多くのお客様に勇気を持って話しかけ、流れるように話をする経験が積めたことが商談化率を飛躍的に高めたのではないかと思います。ナレッジも溜まり、スキルアップに繋がりました」(ココナラ 萬氏)
テーマ3:来場者を惹きつけるブースデザインのTips
思わず足を止めるデザインの工夫とは
ブースのデザインで4社とも共通していたのは「視認性の大切さ」です。ココナラでは、来場者の視線の動きに着目し、パネルのデザインを大きく目立つように設計しているそうです。
「会社の知名度はあるので社名の“ココナラ”がまず目立つようにしました。出展前からいろいろな現場を見学し、来場者は常に斜め上を見ながら歩いていることに気づいていたので、パネルの位置にもこだわりました。
周囲のブースと差別化するために、会社の特徴を活かしたポップなデザインにしたのも正解でした」(ココナラ 萬氏)
「確かに、取引先の社名ロゴが提示してあるだけでもお客様の反応が違います」(Sansan 西川氏)
「UPSIDERでは社名やデザインではなくメッセージにこだわっています。『経理DX』という文字が背中に書かれたTシャツをブーススタッフが着用し、伝えたいメッセージをシンプルに大きく打ち出しました。そこで足を止めたお客様に対し、ピッチプレゼンを実施。1時間に3本ペースで行い、ブース内ににぎわいを生み出すようにしました」(UPSIDER 上井氏)
「目立つように振り切ってやるか、周囲のトーンになじませるか。視認性を意識して、考えたいところですよね。先日、ものづくり系の展示会に出展したのですが、ある会社が普段PRをしているモデルの服装を作業着姿に変えて、出展していたんです。そうするだけで、お客様の足が止まっていました。自分ごとのように感じて、興味を持っていただいたんですよね。そういう工夫の仕方もあります」(Helpfeel 落合)
会場からは質問も多く寄せられ、セミナー終了後の懇親会でも活発な意見交換が続きました。展示会を上手く活用し、顧客接点をさらに広げていくためのヒントが得られたのではないでしょうか。
その後の懇親会では、同じ悩みをもつイベントマーケター同士で話が盛り上がっていました。
Helpfeelでは、今後も展示会の出展に力を入れていきます。
展示会の運営やディレクションに興味がある方、またセールス等の他部署を巻き込んだマーケ施策のスキルアップを目指す方はぜひお気軽にお話しましょう!
Helpfeelは積極採用中です!